『3G』『4G』『LTE』『VoLTE』
携帯電話を持っている人なら一度は聞いたことがあると思います。
docomo、au、SoftBankの窓口でもプランなどで必ず聞きますよね。

しかし料金プランの説明なのでLTEがいくらかというのには興味がありますが、実際にLTEがなんなのかはそのときにはあまり気にならないかもしれません。
そして店員さんも料金の説明はしてくれますが、実際に3Gだの4Gだのは説明してくれません。

確かに知らなくても生きていけるし、知る必要がないかもしれませんが、知っておくことでちょっとだけ便利になったり、ちょっとだけ違う見方ができたりします。
知識ってその程度のものかもしれませんが、そのちょっとがおもしろかったりしますよね。

3G、4Gってどういう意味?

ではまず『3G』『4G』のGとはなんでしょうか?
これは国際電気通信連合が定める通信システムで世代を表す『Generation』のGです。

  • 3G=3rd Generation
  • 4G=4th Generation

となります。

今ではほとんど聞きませんが、1Gや2Gもありました。
1Gは自動車に設置されていた自動車電話や肩からかけて持ち運ぶショルダーフォンがそうでした。
そのへんだと今の人はわからないですよね。

2GはPHSやdocomoのmovaで、2Gからデジタル通信に変わりました。
これらも今では使われていませんが、今現役の3Gもそのうち終了すると言われています。

ではこの世代を経るとなにがどう変化しているのかというと、通信速度が速くなり、より大きなデータのやり取りを安定して行えるようになったわけです。
技術の進歩により良い通信規格に移行していっているんですね。

3G(第3世代移動通信システム)

3Gの通信速度は数Mbps~14.4Mbpsとなっております。
大手キャリアでだと以下の3Gの名称になっていますね。

  • docomo「FOMA」
  • au「CDMA1X WIN」
  • SoftBank「SoftBank3G」

でも実はこの3つのどれも14.4Mbpsが出たわけではなくまだまだ発展途上でした。
そこでdocomoとSoftBankはこの3Gに改良を加え、「FOMAハイスピード(docomo)」「3Gハイスピード(SoftBank)」という名称で最大14.4Mbpsの通信速度を記録しています。

3Gから改良・発展させたこの規格は第3.5世代移動通信システム(3.5G)に分類されています。

実は「3G」→「3.5G」となっていたのはあまり多くの人は知らないのではないでしょうか。
この次に来たのが数字的には「4G」……ではなく「3.9G(LTE)」です。

LTE

LTEの名称は「Long Term Evolution」のアクロニムになります。
3Gから4Gへの移行する際に、いきなり切り替えるのが困難なため、その架け橋的な目的で展開されました。
技術的には4Gに近いため3.9Gと呼ばれたりもします。

各社の名称はこんな感じです。

  • docomo「Xi」
  • au「au 4G LTE」
  • SoftBank「SoftBank 4G LTE」

3社の中でもdoconoは2年ほど早くXiを採用しています。

3Gに比べるとかなり高速化が進んでおり、理論上は100Mbps以上と言われています。
あくまで4Gの架け橋となるべく発展したLTEですが、国際電気通信連合(ITU)の声明で公式に4Gと呼んでも良いことになりました。

ちょうどこのあたりから個人のデータ通信量の制限が使い放題のプランでも導入されるようになっています。
iPhoneで言うとiPhone5以降ですね。

理由としてはスマートフォンでも快適に動画視聴ができ、大きなデータのやり取りが可能になったため、通信量に上限を持たせたわけです。

そんな充分な性能のLTEと4Gの違いとはなんなのでしょうか。

4G(第4世代移動通信システム)

4Gでの通信速度は50~1Gbps程度とLTEに比べると大きな差があり、第4世代の名称として「IMT-Advanced」と名付けられています。
厳密な4Gの規格としては「LTE-Advanced」と「WiMAX2」のみになるのですが、先ほど記載した通りLTEの中でも一部を4Gと呼称しても良いことになっています。

  • docomo「PREMIUM 4G」
  • au「au 4G LTE CA」
  • SoftBank「SoftBank 4G」

2018年9月現在ではdocomo「PREMIUM 4G」が下り最大988Mbpsを実現しており、他社もだいたい似たような感じです。

一応付け足しておきますが、この速度はキャリアアグリゲーションという複数の周波数帯を利用するのに加えて、「4x4MIMO」と「256QAM」という技術を使用することにより実現しています。
NTTドコモの三木睦丸氏の説明がわかりやすいので以下に引用させていただきます。

「これまでのキャリアアグリゲーションは、道幅を拡張することで高速化した。これに対して、MIMOは道路のルート数を増やし、QAMはトラックの積載用を増やすイメージ」

これらはまだまだ一部の都市部に限定されており、機種によっても制限があります。
また最大通信速度と実効速度には大きく乖離がありますが、使用する分にはみなさんストレスなく使えていると思います。

VoLTE

せっかくなのでVoLTEについても言及しておきます。
VoLTEは音声通話で使用される通信規格でVoIPでサポートされており、名称は「Voice over LTE」の略。

VoLTE以前の通話は3Gで行われており、データ通信がLTEに移行した当初も、音声通話は3Gに切り替えられていました。

3GからVoLTEになったことで、データ容量は3倍以上になり、よりクリアな音質での通話が可能となりました。
また通話時の遅延もVoLTEの方が少なくなっています。

ただしこのVoLTE通話は同じ通信会社でしか使用出来ず、docomoからau、auからSoftBankなどには対応していません。
もしかしたら今後使用できる可能性もありますが、現時点ではなんとも言えませんね。

2018年10月時点の話ですが、docomoとSoftBankは異なるキャリア間でのVoLTE通話を順次提供とのアナウンスがあり、auは準備中とのことでした。
それから随分時間が経過したので、現在はVoLTEの相互利用が実現されていると思いますが、公式が発表しないので完全対応しているかは不明ですね(とくにau)。

基本的にはauからdocomoで出来ているので問題ないとは思いますが……。


※HDというのがVoLTEになります。
てか聞きづらいんかい!(笑)

また大手3キャリア(MNO)以外の格安SIM(MVNO)でも対応している事業者は多いようです。

VoLTE(HD+)

VoLTEをさらに高音質にしたVoLTE(HD+)というのもdocomoとSoftBankは提供しています。

実際に通話画面でHD+の表示がされているので気になっていた人もいるかもしれません。

  • 3G:固定電話相当の音質(300Hz~3.4kHz)
  • VoLTE:AMラジオ相当の音質(50Hz~7kHz)
  • VoLTE(HD+):FMラジオ相当の音質(50Hz~14kHz)

VoLTEと比較すると高音域が2倍向上していますね。
現在VoLTE(HD+)に対応しているのはAndroid端末(2016年5月以降発売の機種)のみで、残念ながらiPhoneには対応していません。
今後対応されるとは思うんですけどいつになるのでしょうか。

ちなみにどの規格で通話しようとも、料金が加算されることはありませんのでご安心ください。
ただ通話音質がクリアになるのはいいのですが、確かに聞こえすぎる弊害というのもあるのかもしれませんね。