ワイヤレス充電(Qi)って皆さん知っていますか?
おそらく聞いたことはあるけど使ったことはないという人がほとんどだと思います。

簡単に説明するとQi(チー)という共通の規格で、コネクタにケーブルを接続しなくてもワイヤレスで充電ができます。
まだまだ発展段階で必ずしも購入を勧めるわけではありませんが、今後普及していくだろうと予想しています。

そんなワイヤレス充電の中で気になるポイントとして

  • 充電が遅い
  • バッテリーの劣化
  • ワイヤレス充電の危険性

の3つがよく言われています。

今回はこれらについての知識を知ってもらおうと思います。

ワイヤレス充電(Qi)は遅い?

ワイヤレスで充電するにあたり、有線接続と比較して充電されるスピードが遅いのではないかという疑問です。
これに関しては2つの点で本当です。

「わざわざワイヤレス充電器を買ってまで遅くなるなんて嫌だ!意味不明!」
という人もいるかもしれません。

もちろん置くだけで充電できるというのは十分なメリットと考える人もいるでしょう。
ではなぜワイヤレス充電の方が遅くなるのでしょうか。

エネルギーロス

ワイヤレス充電の場合、ケーブル接続での充電に比べてどうしてもエネルギー効率が悪くなってしまいます。
電磁誘導を利用して電力の伝送を行う仕組み上、仕方ないことなんです。
今後このロスを抑えるための改良がされるかもしれませんが、ロスを完全になくすというのは難しいでしょう。

そう考えると早く充電することが最優先の場合は、ワイヤレス充電は向いていないことになります。

ワット数

スマートフォンには充電の際に対応しているワット数というのが存在しています。

例えばiPhone11やPixel3で受け取れるのが最大18Wとなっています。
最大18Wとは一般的に急速充電と言われているもので、ケーブルや充電器などUSB PD(SB Power Delivery)の明記がされているはずです。

iPhoneで言えばiPhone8以降でUSB PDに対応しており、専用のACアダプタやケーブル(USB Type-C-Lightning)が必要になります。
※iPhone11 Proからは付属品自体が変更されています。

ちなみにiPhoneXSまでに付属している充電器のワット数は5Wなので、それと比べるとワイヤレス充電とほぼ同等と言えます。

この最大18Wという数字は有線接続での数字になっており、ワイヤレス充電の場合はさらに低い数字になります。

iPhone8以降

  • 有線接続による充電:最大18W
  • ワイヤレスによる充電:最大7.5W

Pixel3

  • 有線接続による充電:最大18W
  • ワイヤレスによる充電:最大10W

数字を見てわかるように、どれだけ頑張ってもワイヤレス充電では有線接続充電よりも早く充電することができないんです。
「充電が遅い」と感じる体感スピードで言えば、5Wでの充電と変わらない程度には改良されているというわけですが、相対的に見ると確実に遅いです。

余談ですが、記事執筆時点で最も充電速度が速い端末は、おそらくHuaweiのMate30 Proだと思います。

  • 有線接続による充電:最大40W
  • ワイヤレスによる充電:最大27W

発熱について

ワイヤレス充電を行うと端末や充電器などが発熱する現象が起きます。
電気から磁気に変換され空間を跨ぐわけですが、その際にエネルギーのロスが発生しますね。

ロスと言ってももちろん消えるわけではなく、熱に変換されたりします。
さらに通常よりもバッテリーへの負荷がかかることから、有線接続の充電よりも発熱しやすくなります。

端末の温度が高くなりすぎると、充電の出力を抑える仕組みが働く場合もあり、この点からも充電効率が悪くなります。

電源をオフにしても発熱することが多く、なかなか悩ましいところです。
速く充電をしたいならワット数を上げる必要がある反面、ワット数を上げると発熱しやすくなります。

発熱対策については機種やワイヤレス充電器にもよりますが、ヒートシンクなどを利用して物理的に冷却するのが一番効果的です。
最近はある程度改良されており、信用できるメーカーのものを選ぶだけでも発熱はある程度抑えられています。

バッテリー劣化や危険性

ワイヤレス充電を行った際のバッテリーの劣化も気になりますね。
スマホにはリチウムイオン電池が使われており、基本的にこの電池は充放電の繰り返しにより劣化します。

通常の使用範囲ではそこまで気にする必要はなく、エネルギーのロスがあるからと言って有線と無線で大きな違いはありません。

しかしリチウムイオン電池は熱により電極自体の劣化が加速します。
そういう意味では発熱しやすいワイヤレス充電は、劣化しやすいと言えますね。

危険性についても発熱が関連します。
よく聞くのは安物を使うことで充電器が溶けてしまったり、過熱による火傷などがあります。
またワイヤレス充電器に限ったことではありませんが、安全性の低いものやメーカー不明のものなど発火する可能性もあるでしょう。

電磁波の人体への影響を気にする人もいるかもしれませんが、その点も今のところ悪影響はないというデータがあります。
そもそも携帯電話を使っている時点で電磁波に晒されているので、そこまで気にしても仕方ない気がします。

おすすめのワイヤレス充電器

ワイヤレス充電器については、あまり安いものを買うべきではないというのをお伝えしました。
聞いたこともないメーカーや製品名のものは利用を控えるべきです。
ECサイトでは中国製の商品が数多く出回っているので、評価が良くてもメーカーや商品名を調べたときに十分な情報が出てこないと危険です。

そうなると既に知名度のあるAnkerやエレコムなどが選択肢に入ると思います。
その中で個人的におすすめするのが「Belkin(ベルキン)」です。

BelkinはAppleの純正付属品を製造しているフォックスコン(Apple公式の委託業社)の傘下にある企業で、Apple直営店でもベルキン製の商品は取り扱っています。
その中でワイヤレス充電器にも力を入れており、排熱機構を取り入れた7.5Wや10Wでの充電が可能です。

メーカー保証3年間あるので、なにかあったときのサポート面でも安心です。

まとめ

この記事を読むだけである程度ワイヤレス充電について詳しくなったかと思います。
普段スマートフォンの充電を何Wで行っているかを把握しておくと、ワイヤレスでの充電速度の目安になります。

最低ラインである5Wの有線充電器を使っている人は、ワイヤレス充電に切り替えた方が早くなる可能性もあります。
Qiの規格は今後もどんどん改良されて、最大120Wまで対応する予定なので楽しみですね。

置くだけで充電できるというのは体感してみないとわからないと思いますが、想像以上に楽ちんですよ。