スマートフォンで音楽を聴くのは当たり前かと思いますが、どんなイヤホンで音楽を聴いていますか?
iPhoneが7からイヤホンジャックを廃止して、さらにシリーズは世代を重ねましたが、未だに有線イヤホンで聴いている人はいるでしょうか。

Lightningケーブルの変換アダプタさえ使用すれば、イヤホン使用できますからね。
ただ一度デジタルに変換されていますので、通常の有線イヤホンで聴く音とは違っているはずです。

そしてAndroidスマホでもXperia XZ2がイヤホンジャックを廃止していますね。
おそらくiPhoneがアナログイヤホンジャックを廃止したユーザーのリアクションや変化などを見て決断したと思われます。

こちらもUSB type-Cから変換アダプタを経由して有線イヤホンは使用できますが、一度デジタルに変換されます。

ではBluetoothイヤホンで音楽を聴いているという人、どうやってイヤホンを選びましたか?
メーカーですか?性能ですか?音質ですか?金額ですか?

いろいろと選択する候補はありますが、やはりぼくはコーデックこそ重視するポイントだと思っています。
そしてiPhoneとAndroidスマホでは高音質で音楽を聴けるコーデックは違っており、その両方を兼ね備えているイヤホンはそう多くないのです。

音声データをワイヤレス転送するときに圧縮される規格がコーデックとなります。

iPhone、Androidに対応しているコーデック

まずどちらのスマートフォンでも利用可能なコーデックがSBC(Subband Codec)です。
いわゆる標準的な規格で、Bluetoothイヤホンに何も記載がなければ「SBC」と思ってもらって大丈夫です。

メリットとしてはBluetooth機器は必ず対応(A2DP)しているためiPhone、Android問わずに使用できるのと、標準規格なのでやはり高音質コーデック対応のイヤホンと比較すると安価な傾向にあります。
デメリットはデータ通信にタイムラグが発生するので音が遅れたり、高音域が削られるので音質は良くない点です。
遅延は約220ms程度。
オーディオメーカーでもSBC対応のみのイヤホンもあるので、音質や遅延を気にするなら注意が必要です。

iPhoneの高音質コーデック【AAC】

iPhoneが対応している高音質コーデックは現時点でAAC(Advanced Audio Coding)のみです。
SBCと圧縮率が変わらないにもかかわらず、遅延が少なく高音質なコーデックです。

iPhoneやApple製品での使用を考えるのであれば、AACに対応しているBluetoothイヤホンにすることをおすすめします。
遅延は約120ms程度。

Androidの高音質コーデック

Androidスマホには機種によって対応しているコーデックが複数あるので、Androidだからこのコーデックが使えるというよりは、この機種にはこのコーデックが使えるという分かれ方をしています。
基本的にはメーカーの利権とハードの技術2つの要素でどのコーデックが使用できるかが決まるようです。

ちなみにAndroidの場合は設定からどのコーデックで音楽を再生しているのか確認ができます。
通常だと確認できないので、一度デベロッパーモードにする必要があります。

  1. 「設定」→「端末情報(→ソフトウェア情報)」→「ビルド番号」を7回連続でタップ
  2. 「これでデベロッパーになりました」と表示される。
  3. 「設定」の項目に開発者向けオプションが追加されている。

これでデベロッパーモードになったので、Bluetoothイヤホンに接続して音楽を再生しているときに、開発者オプション向け内の「Bluetoothオーディオコーデック」の項目に現在の転送コーデックが表示されます。

では続いてAndroidで使用されているコーデックの種類を見ていきましょう。

【aptX】

クアルコムの子会社CSRが開発した規格で、AACよりもデータ圧縮率が少なく、音質や遅延という面ではさらに優れています。
多くのAndroidで対応していますが、残念ながらiPhoneでは非対応となっています。
遅延は約70ms程度。

aptXには以下の派生技術も開発されていて、それらと区別するために無印のaptXを「aptX Classic」と呼ぶこともあります。

  • ハイレゾ対応のaptX HD
  • 低遅延のaptX LL(Low Latency)
  • 環境によって可変するaptX Adaptive

もっとも遅延が少ないaptX LLの遅延が40ms未満と体感ではほぼわからないレベルになっています。
aptX Adaptiveはユーザーの環境に合わせてビットレートを変化させ、高音質を維持しつつ、途切れにくいコーデックになっています。

【LDAC】

SONYが開発したハイレゾ対応の高音質コーデックで、スマホでいうとXperiaやHuaweiに対応しています。
最大96kHz/24bitの音声データを伝送できる高音質・高ビットレート対応コーデック。

遅延よりも音質を優先しているため、動画再生などではタイムラグが気になるかもしれません。
ですが音質に特化しているので、音楽を聴くのであればLDACはめちゃくちゃ優秀です。

【HWA】

「High-Res Wireless Audio」の略で開発元は最近話題のHuaweiです。
ビットレートや情報量はLDACに匹敵するほどで、ハイレゾにも対応しているものの、まだ開発されたばかりで対応しているイヤホンやヘッドフォン、スピーカーなどが少ないのでそこまで飛びつくほどではないですが、今後に注目ですね。
Huaweiは中国でも人気のメーカーなので、対応しているワイヤレスイヤホンなどをサポートする企業は多いと思います。

Androidの補足

Androidではいろいろな規格があることがわかった思いますが、コーデックがSBCに固定されていて、自分が求めているコーデックで聴けないというトラブルに陥るかもしれません。
そうなったときにはデベロッパーモードで、デフォルトのコーデックを選択できるのでそこで固定しておきましょう。

【音質・性能・遅延】結局どれがいいの?

おそらくユーザーが知りたいのはそこですよね。
ただBluetoothイヤホンでどれを優先するかでどのコーデックを選択するかは変わってくるんです。
例えば音質だとざっくりこんな感じになります。
LDAC>aptX HD≧aptX Adaptive≧HWA>aptX LL=aptX>AAC>>SBC

一方でLDACにはビットレートを上げると遅延や途切れの問題もあり、用途や環境では全く快適に音楽を聴けないなんてことにもなります。
そう考えるとAndroidは現状、高音質かつ遅延が途切れが発生しそうな環境であれば、自動でビットレートを下げてくれるaptX Adaptiveが非常にバランスが良いですね。

もちろんそれ以外の相性なども考慮する必要があるかもしれませんが、数値上や性能上はaptX Adaptiveです。
そしてiPhoneはSBCとAACしか選択できないので、AACを選ぶべきです。

そう考えると最低限対応しておいてほしいコーデックはAAC、aptXの2つです。
AndroidとiPhoneのマルチユーザーにもおすすめですね。

あとは値段などを考慮して、AVIOTのTE-D01bを推します。
IPX7完全防水なのと、クアルコムのチップQCC3026により途切れの軽減、左右での親機子機の切り替えを行いバッテリー消費を最適化することでイヤホン単体で9時間と脅威の電池持ちです。
さらにケースでの充電は約8回行えます。

日本発のオーディオビジュアルブランドというところも個人的にポイントが高いので応援したいです。

Amazonなどで中国製の完全ワイヤレスはもっと安価でありますが、どこのメーカーかわからないのが怖いのと、Bluetoothなどの無線機器って結構危ないんですよね。
2017年にも端末が10秒で乗っ取られる「BlueBorne」がニュースになっていました。

使用するのは自由ですが、どこか作っているのかわからないメーカーの製品をぼくは使いたくありません。